Aさんを問診していて印象的だったのは、「最近、朝立ちがなくなった」という訴えでした。そういう訴えを持つ患者さんは珍しくなく、多.くの人は、「だから自分の性機能は落ちたのだ」と勝手に決めつけているのです。

しかし、それは単なる思い込みです。NPT測定のところで、夜間睡眠中に4～5川の勃起をしていると書きました。これは、レム睡眠という夢を見ているときに合わせて勃起しているのです。夢を見ていないノンレム睡眠時には、勃起はしないのが普通です。ですから、もしもノンレム睡眠のときに目覚めたとすると、勃起はしていないはずです。

朝立ちがなくなったと訴える患者さんに、「最近、夢.を見ていないんじゃありませんか」と聞くと、「そういえば……」と答える入が多いのです」これはつまり、ノンレム睡眠のときに覚醒していることを意味しています。

実際、AさんにNPT測定をすると、しつかり夜間勃起をしていました。それを告げると、少し安心したようでした。

診察の結呆、Aさんは今治療をしている病気もなく、検査で特に異常は見当たらなかったので、先の分類に照らせば「混合性勃起障害」で、加齢によるものだと考えられます。